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by chihoharada
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哀しい色

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散歩道にあるステキな洋館がまた一つ消えた。
散歩の足がその建物跡に立ち止まると心の小さな留め金がカチッと
壊れて哀しい欠片がゴロンと目の前に転がった。
最近は頻繁に古い家が跡形もなく壊されて無味乾燥なビルが建つ。
勝手に好きな建物と思い込んでも私のモノではないのだから・・・と
自分に言い聞かせながらもガリゴリと無遠慮な音をたてながら
ブルドーザーで壊されていく有様はとても見るに忍びない。
確かに古くなった建物は耐久性が弱まり水回りや空調設備も悪く
思い切って壊して新しく建て直した方が快適でメリットがあるのだろう。
しかし年月が刻んだ味わいは何ものにも代えがたく美しいし、
その時代にしか出せないデザイン感覚も捨てがたい。
だからせめて好きだった建造物は勝手にみな私の心の小さな
「想い出の町」へと引っ越ししてもらって懐かしむことにしている。
そんなある日、壊されてしまった建物の隣の家のエントランスに
一匹の猫が神妙な顔してちょこんと座っていた。
そういえば壊されてしまった西洋館の前庭は猫たちの社交場になっていて
建物と猫たちがとてもしっくり融合していた。
私も通りすがりにパチリと写真のモデルになってもらったこともある。
その子かどうか分からないが「おうち・・壊されちゃったわね~」と話しかけてみた。
すると猫はぐぅっと首を伸ばすと壊された家との境にあるブロック塀を見上げた。
そして次に「にゃぁ~~にゃぁ~~」と語尾を長く長く伸ばして鳴きだしたのだ。
その声は絞り出すような苦しそうな鳴き声でなんとも哀しげな色をしている。
西洋館は彼らにとって掛け替えのない場所だったのだろう。
やがってそこを離れて家路に向かう路地裏にいつまで響く哀しげな嘆きの
猫の鳴き声は楽しいはずの散歩道を寂しい色に染めていった。
Photos.:Chiho Harada
http://www.facebook.com/chiho.harada.
by chihoharada | 2014-03-28 18:43 | 街角物語 | Comments(0)