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by chihoharada
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プラットホームを駈ける女性

日は父の日と先日亡くなった女優の白川由美さんが重なって、すっかり忘れてしまっていたことがふっと甦った。
この話は父も母も現世の人でなくなった今、もう時効の話だからいいだろう。
これは私が北海道の釧路に住んでいた13歳頃の遠い昔の話だ。
我家は父と母と弟と四人家族で、日曜日には必ず4人揃ってレストランで食事をすることになっていた。
あの日も家族揃って浮き浮きと繁華街をレストランへと足を運んでいた。
その時、前方からこちらへ向かって歩い来る人波の中でひと際目立つ美しい女性がいた。
その女性はすれ違う瞬間に「あらご家族揃ってお出かけ?」と父に小さな声で話しかけた。
父は「あ、どうも」とだけ言うと人目には何事もなかった通行人同士のようにすれ違った。
勘の鋭い母はその一瞬を見逃さず「どなたなの?」と父に問いかけた。
父はブスッとした表情で「あ~商談で使ってる料亭の女将だよ」と素っ気なく答えた。
その日のレストランの食事は子供心にいつものような楽しくなかったことを覚えている。
して3年の月日が流れ、私が16歳のとき父の仕事の都合で釧路を去ることになった。
駅のプラットホームには父の仕事関係や母の友人や弟と私の友達が大勢見送りに来て別れを惜しんでいた。
やがて発車のベルが鳴り響き、ドアが締ると列車は少しづつ動き出した。
そのとき列車の窓際に群がらり手を振る人たちの後方を動き出した列車とともに走りだす女性が目に止まった。
あっ!! なんとそれは数年前、道路ですれ違ったあの時の女性ではないか。
列車がどんどんスピードを増すに従って、スカートの裾をひるがえし懸命に走るその姿は16歳の私の胸にも迫るものを感じた。
後ほど配達された郵便物でその女性の名が女優さんと同姓同名の白川由美さんだということを知った。
の晩年に、それとなく聞いてみたことがあったが、にっこり笑って「懐かしい話だね」と云うだけで何も語らず終いだった。
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Photo.ChihoHarada

by chihoharada | 2016-06-20 17:51 | ..oO○ | Comments(0)